古いアメリカのミュージカルに「6月は一斉に花開く」
というミュージカル・ナンバーがありますが、
日本でも5月、6月はまさに「一斉に花開く」という言葉そのままに、
あちらこちらのお家の庭先では
丹精込められたんだろうなぁと思う見事なバラの花や、
パンジー、モッコウバラ、ラベンダーなどが、
沿道を歩けば街路樹や植栽として植えられた
つつじやアジサイにヤマブキ、
そして空き地でもつゆ草やシロツメ草、
少し日陰に入ると、
匂いはいやだけどドクダミも白いかわいらしい花を咲かせて…
まさに百花繚乱です。
散歩するのが本当に楽しい季節…ではあるけれど、
草木もその命を謳歌させているのと同様に
小さな生き物たちもまた一斉に活動を始めているのも事実。
少し前までは豪華な散歩道だった桜並木の下を、
日差しの強い日に木陰を求めて歩いていると、
いきなり上からボトッと落ちてくるのは、毛虫!
樹液でキラキラ輝いている玄関わきのヤマボウシには、ブーンと蜂が!!
そして、うっかり窓を開けっ放しにしているリビングには
いつの間にやら蟻の行列が…!!!
その度に、ヒーッだのギャーだの声をあげてしまいます。
そして、そんな彼等は忌み嫌ってしまうのに、
同じこの季節、虫は虫でも会えるのを楽しみにしているのが、蛍。
毎年車で20分ほどの神社の近くの用水路に現れる蛍を、
今年も見に行ってきました。
暗闇の中、音もなく蛍が飛び交う様はとても幻想的。
考えてみれば、蛍にしてもその他の虫たちにしてもそうやって
命を謳歌できるのはほんのひと時のこと。
毛虫も蜂も蟻も、蛍と同様に短い生を
精いっぱい生きているのだなあと改めて思い返し……
でも、
やっぱり、彼等の突然遭遇した時には、
悲鳴をあげてしまいそうですが、
そんな時にも心の片隅に
それらの命を尊重する思いも持っていたいなと思いつつ、
やっぱりシューもしてしまい…
大きな矛盾を感じる水無月でした。