すでに10年も経ってしまいましたが、2002年のアメリカの大統領選挙は、史上まれに見る接戦でした。
クリントン大統領のあとを受け、民主党からはクリントン政権で副大統領を務めたアル・ゴア氏、共和党からはテキサス州知事で、第41代大統領の息子である、ジョージ・W・ブッシュ氏の闘いとなりました。
当初は、アル・ゴア氏有利と伝えられていましたが、もつれにもつれた選挙選の結果、第46代大統領となったのは、ブッシュ氏のほうでした。
当時、日本でも、テレビや新聞のニュースで、フロリダ州で票の数え直しをして、さらに、その正否をめぐって揉めているというような話を聞いた覚えがありました。しかし、「民主主義国家のリーダー」を標榜するアメリカのことだから、それはきちんと民主的な手続きに沿って行われ、その結果として、ブッシュ大統領が誕生したのだろうと思っていました。
最近、レンタルでたまたま借りて見た映画に「リカウント」というタイトルの映画があります。ケビン・スペイシーのファンなので、「ああ、こんな映画に出てたのか、知らなかった」と思い、手にしたのですが、その映画のテーマが、まさにこの2002年の大統領選挙の顛末でした。
候補者の名前を直接投票用紙に書き込む方式の日本と異なり、アメリカではパンチカード方式の投票用紙です。
まず、投票用紙の表記そのものがわかりにくく、まちがったパンチ穴に誘導してしまう可能性が高かったという問題点から始まりました。
そして、穴の部分のクズが溜ってくると、うまく穴が開かなくなってしまうという問題点も指摘されました。
フロリダで裁判が繰り広げられたのは、上記のような理由で、穴が貫通していないが、押された形跡のある投票用紙を選別することを行うかどうかの判断が主な部分でした。
民主党と共和党の選挙ブレーンたちが、裁判を繰り広げ、「リカウント」することになったら、今度は双方のメンバーから先行された人たちが、投票用紙を1枚1枚確認していくという、とんでもなく地道な作業でした。
一番、「ああ、やっぱりアメリカだなあ」と思ったのは、1週間だか、5日間だかのリカウント期間に間に合わなかった部分の、確認を放棄するというところでした。
きっと、これが日本なら、どんなに徹夜しても、全部をチェックして、絶対にその期限に、間に合わせるんだろうなと思ったのです。
丁々発止のやり取りの結果、最終的にはアル・ゴア氏が敗北宣言をして、選挙戦はブッシュ陣営の勝利が確定しました。
ロマンチックな要素は皆無で、出てくるのは中年のおっさんばかりの映画ですが、とても面白かったです。日本の映画には、まず見当たらないジャンルの作品ですね。
そうそう、ブッシュ大統領を描いた、オリバー・ストーン監督の「ブッシュ」という映画もあるみたいです。せっかくだから、それも観てみなければと、思っています!