2024/03/27
現在、お客様が自費出版される小説の和訳を、鋭意製作中です。
「小説」ですのでフィクションの物語であり、契約書やSDSの文章とは一味違った内容です。
風景を描写したり、登場人物の気持ちを表現したり。
そういった文章を通して、筆者が紡ぎ出した物語の情景・場面を想像しながら翻訳するのは、イマジネーションが刺激されて非常に興味深いです。
この「情景・場面を想像する」というのが、小説の翻訳の上では結構重要なものだなと感じます。
たとえば、ただ登場人物たちが会話しているだけの場面であっても、「she」「he」などの指示語が誰・何を指すのかを見極めるには、場面を想像しながら、内容をしっかりと把握しながら、原文を読み解く必要があります。
そうして物語に入り込むことで、登場人物の関係性や距離感が掴めることもあるので、すると、台詞の口調なんかもよりリアルに、活き活きとした表現に繋がっていきます。
また、今回ご依頼いただいた小説の舞台が日本だったこともあり、
英語にそれを表す単語がない、日本特有のもの
が登場しており、相応しい言葉を探し出せるか、あるいは閃くことができるかどうかも難しい点です。
「襖(ふすま)」が原文で「Fusuma」と表記されていると分かりやすいですが、決してそうとも限らず、「sliding door」「twin door」のように表現する筆者もいるかもしれません。
そんな時に、場面を想像して、頭の中で情景を描くことができると、相応しい言葉が見つかりやすくなる気がします。
小説の翻訳とは、頭の中で物語を絵にする感覚に近いのかもしれません。
とはいえ、当社で行わせていただくのは、あくまで翻訳ですので、元の小説の内容が変わることはありません。
原作を大切に、時には表現のすり合わせもさせていただきながら、いい作品を作るお力添えができましたら幸いです。
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